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日本では「おもてなし」の精神が強く、観光客も満足される方が多いと聞きます。
一方、ロシアではちょっと考えられない「おもてなし」経験をしました。
今回はそんなロシア流「おもてなし」のお話です。
ある時モスクワで泊まったホテルは、ワンフロアを日本人の方が借り上げ、日本人御用達のフロアとなっていました。チェックインもそのフロアで出来ます。さすがに日本語は通じませんが、一通り英語は通じるので助かるし、日本の新聞や雑誌・漫画も揃っていました。
この日は休日だったのと、前日お客さんの接待で飲みすぎたため朝は少しゆっくりしたくてドアノブに “DO NOT DISTURB” の札をかけておきました。
念のため説明すると、この札をかけておくと、ベッドメイキングとか掃除は後回しにしてくれるので、遅くまで寝ていても平気です。
ところが、そこはロシアです。我々の常識は通用しません。
寝ていたらガチャガチャ音がします。何事?と思っていたら恰幅のいいおばちゃんが部屋に入って来ました。おいおい、”DO NOT DISTURB” かけてあるでしょ?何で入って来るの?
おばちゃんは英語が片言だったので、良くわかりませんが、つまり、
「掃除の邪魔だからロビーで雑誌でも読んでろ!」
と言う事らしいです。
さすがおそロシアです。客の都合など知ったことではありません。
仕方無いので、そのままロビーで雑誌読んだりして時間潰していたら、しばらくして先ほどのおばちゃんがこっちに向かってきます。
こっちを見ると、アゴでクイって部屋の方を指しました。どうやら掃除は終わったようです。
わざわざ伝えに来てくれたのは彼女なりの親切心でしょうか。親切のハードルが低すぎる気はしますが。
こんな事は日本では絶対にあり得ません。二度とお客さん来なくなりますから。まあ、ロシアですから。そんな事は気にしてないんでしょう。
二度とそのホテルに泊まる事はありませんでした。
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